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【免疫力UP情報】和食はよみがえるか③

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第33弾は「むすび誌2015年3月号」より和食はよみがえるかの記事をご紹介します。(全回)。
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和食を取り入れた学校給食に期待

行列してまで食べに行くのに

日常食には無気力な若者たち

 ―先人たちによって綿々と受け継がれ、健康にもよいとされる和食が、危機的な状況といわれるまでに廃れてしまった一番の問題点は、どこにあるのでしょうか。

 若者が食べないということです。それは和食だけの問題ではなくて、若者がまったく日本の伝統的な文化というものに興味がないのです。

 日本人の生活態度が変わってしまったということと関係があるんでしょうけども。

 私が学長をしている大学の学生にも感じることで、事あるごとに伝統文化についての話をしていて、中には興味をもつ学生もいますが、なかなか通じません。

 でも、放っておくわけにはいかないので、やらないわけにはいきません。

 一方で、流行すると十重二十重にも並んで人気のラーメンなどを食べに行ったりと、若者たちは食べることにものすごいエネルギーをもっていながら、日用の食に関してはとても冷淡というか、無気力ですね。

 そこには、教養の階層差というものがあるように感じます。

 ゲームをするとか、音楽に夢中になるとか、そういうことについてはものすごいエネルギーが集中できるんだけども、ある種の教養というものについてはまったく欠落してしまうというような階層差みたいなものが、学歴と関係なく、露骨に出てきているのではないかという気がしますね。

 そして、親が三〇代、四〇代の中流の家庭で、食というものがけっこう崩壊しているということです。

正月より大事なクリスマス

土着性なき新しい価値観

 ―家庭内のしつけやルールがうまく機能していないということもあるのでしょうか。

 従来の枠の道徳とかルールとか、おつき合いの技術というものが、すべて別のかたちに代置されて、別のルールがちゃんと存在しています。そこではまた新しい価値観がはたらいているわけです。

 だから、日本人の家庭でありながら、家庭の最大の行事がクリスマスであったり、ハロウインであったりと、まったく本来何の土着性もないものに、今やみんなが狂奔してしまっています。正月の行事といったものを全部捨てて。 そういうふうな現状の中で、われわれは和食の保護と継承を考えないといけない。衰退を食い止めることはできなくても、ゆっくり衰退するようにわれわれは頑張らないといけないということです。

 

学校給食が重要なテーマに

京都市などの取り組みに注目

 ―子どもたちへの食育がますます求められそうです。

 学校給食というのが、これからの重要なテーマになってくるでしょうね。

 給食については、今ずいぶん注目が集まってきていて、給食の中に和食的な要素をたくさん取り入れていこうという動きが、全国的に進んでいます。

 京都市は、給食の基本を和食にしようという方針を出しましたし、各地で非常にすぐれた給食を提供している市や町があります。

 そういうところがこれから一つのモデルになって、変わっていくだろうと思っています。

 子どもたちが食べたいというものを食べさせておけばいい、ということではなくて、苦いものだとか酸っぱいものだとか、味の幅をいろいろもたせるためにも、子どもの嫌いなものも食べさせないといけないでしょうね。

 

過度の商業利用の点検など

保護継承会議でモニタリング

 ―「和食」文化の保護・継承国民会議(略称「和食会議」)の会長をされていますが、和食会議はどんな活動に取り組んでいるのでしょうか。

 一つは和食の普及・啓発ですね。それから、和食の技や知恵といったものを体験する機会の提供です。さらに、いわば新しい和食、これからの和食のあり方について国の内外への提案、そして和食の調査研究。

 五番目は、無形文化遺産登録された和食が正しく保護・継承されているかどうかをモニタリングする責務が日本人に生じましたので、そのモニタリングの仕事が公的に認められているのが、この和食会議なんですね。

 ―場合によっては、ユネスコの遺産登録が抹消されるということもあるようですが。

 実際には、登録が取り消されたという例はそれほどありません。有形の場合ですと、文化遺産が破壊されてなくなってしまったときは、登録が抹消されます。

 和食会議では、過度の商業主義的な利用があるかないか、ということなどをモニタリングします。特定の食品に対して、「ユネスコ無形文化遺産登録」というふうな宣伝をしたら、これは明らかに違反なのですが、どこまでが過度の商業主義的な利用かというのは、なかなか線引きが難しいんですよ。

 そして、線引きした上で、もし違反している恐れのある場合は、警告したり、あるいは注意を促さないといけません。


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熊倉功夫(くまくら・いさお)

1943年東京生まれ。65年、東京教育大学文学部史学科卒業。文学博士。筑波大学教授、国立民族学博物館教授、林原美術館館長などを歴任。2010年に静岡文化芸術大学学長に就任、現在に至る。「和食」文化の保護・継承国民会議会長。著書に「日本料理の歴史」(吉川弘文館)、「茶の湯といけばなの歴史 日本の生活文化」(左右社)、「後水尾天皇」(中公文庫)、「文化としてのマナー」(岩波書店)、「現代語訳 南方録」(中央公論新社)、「茶の湯日和 うんちくに遊ぶ」(里文出版)などがある。

  • 2025年06月14日 12時50分更新
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