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「古米」を問い直す挑戦。味・品質・データを5年間で比較検証~大阪府泉大津市と東洋ライス株式会社が、「熟成保管」実証実験を開始〜

「古米」の概念を問い直す挑戦。味・品質を5年間で比較検証

~大阪府泉大津市と東洋ライス株式会社が、令和7年産米を用いた「熟成保管」実証実験を開始〜

 

要旨

大阪府泉大津市は東洋ライス株式会社と連携し、令和7年産の精米1.5トンを対象にした「熟成保管」実証実験を開始しました。うち1トンを学校給食用に、0.5トンを比較評価用に割り当て、熟成保管米、通常保管米、当該年産米の3種類を最大5年間、官能検査(味の評価)と味度測定で比較します。本実証は市長らの立会いのもと公開で格納作業を行い、透明性ある検証を進めます。

 

 

背景と目的

日本の米を取り巻く状況は、価格変動や需給の不安、食料自給率の低下などで揺れています。泉大津市はこうした課題に対し、保管のあり方を見直すことで、安定した食料供給や生産者の経営安定につながる新たなモデルを探ることを目的に、本実証実験を実施します。今回の取り組みは、「時間経過=価値低下」という従来の常識を疑い、時間を使って価値を育てる「熟成保管」の可能性を検証するものです。

 

 

実証の概要

- 対象:令和7年産の精米 合計1.5トン

  - 1.0トン:学校給食向け(保管)

  - 0.5トン:実証比較用(毎年の味覚評価・分析に使用)

- 比較対象:熟成保管米、通常保管米、当該年産米

- 期間:最大5年間(毎年の評価を実施)

- 評価方法:官能(味)検査および味度測定を併用

- 透明性:格納作業は市長や立会人(第三者)の立会いのもと公開実施

 

 

技術のポイント

東洋ライスは、熟成保管によってお米の中の「酵素活性」を保つことで、時間経過後も味が保たれ、場合によっては旨味が増す可能性があると説明しています。酵素活性はお米の「働き」を示す指標で、これが失われると品質や風味が低下することが知られています。本実証では、味の評価と並行して酵素活性などの科学的指標も計測し、熟成効果の再現性とメカニズムの確認を目指します。

 

学校給食への扱い

今回格納されたうち1トンは学校給食用として確保されていますが、実際に給食で使用するかどうかは、実証の結果を踏まえて市が判断します。現段階で給食での健康面での効果を断定するものではなく、まずは味と品質が保たれているかを確認する方針です。

 

期待される効果と社会的意義

- 需給の平準化:豊作年に余剰が生じた場合でも、品質や価値を維持したまま保管・活用できれば、需給の偏りを緩和し、市場価格の急激な変動を抑制できる可能性があります。

- 生産者の安定:収穫後すぐに販売する必要がなくなれば、生産者は価格下落への不安を軽減でき、継続的な営農や次年度の生産意欲の向上につながる可能性があります。

- 地域の安心:熟成保管技術が実用化されれば、学校給食や地域備蓄において、一定品質の米を安定的に確保する新たな選択肢となる可能性があります。

- 食料安全保障への貢献:本実証は、「時間の経過によって価値が下がる」という従来の前提を見直し、米の新たな保管・流通モデルの可能性を検証するものです。成果が確認されれば、将来的には地域における食料供給の安定化や備蓄のあり方に新たな視点を提供し、ひいては国全体の食料安全保障の強化に寄与することが期待されます。

 

 

今後の予定

- 味度測定・官能検査を毎年実施し、結果に基づく検証を進める。

- 実証の結果を踏まえ、給食での利用や地域備蓄の制度設計、自治体間連携のあり方を検討する。

事務局 野川