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【免疫力UP情報】香害と身近な化学物質②

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第28弾は「むすび誌2019年12月号」より香害と身近な化学物質の記事をご紹介します。(全6回)。
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キャップ一杯に1億個
 そして「問題は香料だけではない」と角田さん。それが、マイクロカプセルなどのウレタン製品に広く使われているイソシアネートです。
 香料成分を極小の樹脂性カプセルに詰め、洗濯時に衣類にまぶします。すると、繊維に絡みついたマイクロカプセルは衣類に残り続け、着ている人の動きでカプセルが擦れたりして破れたときに、中の香料成分が徐々に放出されていきます。
 そうした徐放性のあるカプセルの大きさは、数マイクロメートル?数千マイクロメートル(1マイクロメートルは1ミリの1000分の1)。
 小さいもので、大気汚染物質として知られるPM2.5(直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質)と同じくらい。「吸い込むと肺の中に入ってしまい、破裂すると中の香料が飛び散って、ウレタンはそのまま残ります」と角田さん。
 その小さなマイクロカプセルが、角田さんによると、柔軟剤の付属のキャップ一杯になんと約1億個も入っています。
 うち8割ぐらいは洗濯時の排水とともに下水に流れていきます。それらはもちろん水質汚染の原因にもなります。
 残りの約2割は、衣類の乾燥とともに周囲に多量に飛び散ります。一方、弾けたあとのマイクロカプセルの殻は、何年たっても繊維に絡みついたままなかなか取れないということもあるようです。
 「うちは石けんを使っているので、マイクロカプセル香害は関係ないのでは」と思われる人がいるかもしれませんが、角田さんが指摘するように、電車など密閉された空間で大勢の人といっしょにいると、マイクロカプセルがたくさんついてしまい、そのまま自宅まで持ち込んでしまうことにもなります。

強い毒性のイソシアネート
 イソシアネートというとあまり聞き慣れませんが、ウレタンというと、住宅の断熱材などが思い浮かびます。
 イソシアネートを使ったポリウレタン樹脂は、塗料や接着剤、ウレタンフォーム、バンパーなどの自動車部品、靴など身の回りのたくさんのものに使われ、「ありとあらゆるところにウレタンが存在しています」(角田さん)。
 いちばん身近なところでは、一日中身に着ける下着などの衣類。とくに伸縮性のあるもので「ポリウレタン3%」などの表示があることがあります。
 マイクロカプセル技術が最初に使われたのは、ノーカーボン紙です。カーボンを挟まないで複写できる画期的な技術でしたが、結果的にPCB汚染を広げることにもなりました。
 柔軟剤などのマイクロカプセルにイソシアネートが使われているのは、反応性に富み安価だからです。
 イソシアネートは、化合して重合体(ポリマー)となった場合(ウレタンフォームやポリウレタンなど)は毒性はありませんが、分解して単量体(モノマー)になったとき、強い毒性を発揮します。
 どのくらいの毒性かというと、角田さんが示した、イソシアネートの中でも代表的なトルエンジイソシアネート(TDI)でみると、米国産業衛生専門会議では職場環境平均許容濃度は0・001ppmとかなり低く(日本では0・005ppm)、シックハウス症候群の原因物質の一つとされるトルエンの許容濃度と比較すると「1万倍や5千倍とか、非常に毒性が強いことがわかります」。
 そして、イソシアネートは非常に脆いのが特徴です。よくウレタンシューズのソールがボロボロになっていることがありますが、その壊れる過程で毒性が強くなります。

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角田和彦(かくた・かずひこ)
1952年静岡県生まれ。東北大学医学部卒。専門は臨床環境医学、アレルギー。2004年、宮城県多賀城市にかくたこども&アレルギークリニックを開業。シックハウス症候群の調査や治療、2011年の東日本大震災ではアレルギー児の救援活動などにあたった。『アナフィラキシー 原因・治療・予防』(柘植書房新社)など著書多数。
  • 2023年06月08日 13時43分更新
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