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【免疫力UP情報】マクロビオティックのエビデンス②

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第10弾は「むすび誌2018年6月号」よりマクロビオティックのエビデンスの記事です(全3回)。
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理にかなっていた「穀物菜食」「一物全体」

老化を早める動物性食品
 
著書で作田さんは「植物性食品が主体の食事は、炎症や肥満を抑え、老化を遅らせます」と述べます。
 逆に、「動物性のたんぱく質や動物性の脂肪の摂り過ぎは炎症をひきおこし老化を早めます」。その主な理由は以下のとおりです。

 ・食肉や高脂肪乳製品(クリーム、バター、チーズなど)に含まれる飽和脂肪酸やファストフードの揚げ物に多いトランス脂肪酸は炎症を引き起こし、心血管疾患や2型糖尿病、サルコペニア(加齢に伴う筋量減少や筋力低下)、がん、認知症のリスクを高める
 ・飽和脂肪酸は腸内細菌を悪玉化し、腸管の炎症性物質(LPS)の透過性を高め、体内への炎症性物質の流入を促す。これにより炎症が引き起こされ、老化が早まる。飽和脂肪酸が多いと、悪玉コレステロール値も高める
 ・動物性たんぱく質に多い必須アミノ酸(からだの中でつくることのできないアミノ酸)の一つのメチオニンは、制限しすぎると欠乏症を招くが、日本でふつうに食事をしていてメチオニンが欠乏することはあり得ない。餌に含まれるメチオニンを80%減らすと寿命が40%延びたという動物実験から、軽度のメチオニン制限は人でも老化を抑える可能性がある
 ・食肉に含まれる鉄(ヘム鉄)は、植物性食品の鉄よりも消化管から吸収されやすく、貯蔵鉄(フェリチン)になりやすい。貯蔵鉄が増えすぎると脂肪細胞や骨芽細胞に蓄積し、それらの細胞でのホルモン(アディポネクチン、レプチン、オステオカルシン)の合成を抑える。その結果、過剰の鉄が糖質代謝を悪化させて、肥満を助長し、血糖を高め、炎症を誘発する
 ・動物性たんぱく質中の必須アミノ酸、中でもロイシンなどの分岐鎖アミノ酸が「老化酵素」であるmTORを活性化し、老化を早めて寿命を縮める

死亡率高い低炭水化物食

 動物性のたんぱく質や脂肪の多い食事とは、低炭水化物(LC=ローカーボ)食にほかなりません。
 国立国際医療研究センターが研究データのメタ解析をした2013年の報告によると、LC食の人は非LC食の人に比べて死亡率が1・31倍にも高まっていました。
 ごはんなどの糖質を断つ代わりに肉や乳製品をいくらでも食べていいという糖質制限食は、上記のようなはっきりとしたエビデンスのある理由により、死亡率が3割も上がってしまうのです。
 著書で作田さんは「LC食は、心臓や血管にとって有害であり、老化を早め、寿命を縮めるのです」と断言しています。
 なお、「動物性たんぱく質」といっても、主に問題になるのは牛や豚といった家畜肉の赤身であり、魚介類や鶏肉(白身肉)はリスクを高めません。
 例えば、不飽和脂肪酸に富む魚介類や卵は悪玉コレステロール値を上昇させず、魚介類に多いオメガ3脂肪酸は炎症を抑えます
 また、2014年に医学専門誌に掲載された報告によると、65歳以下の場合は、たんぱく質を多く摂る人が、あまり摂らない人より死亡率が70%も高まるとする一方、66歳以上だとむしろたんぱく質を多く摂る人の方が死亡率が下がっていたということです。
 このことから、作田さんは、高たんぱく質食が老化におよぼす影響が年齢により異なると考え、「肉は65歳までは少なく、65歳を超えたら多く摂るのがよい」と指摘します。
 一方、糖質制限食をはじめとしたLC食について作田さんは、まったく否定しているわけではありません。
 人によっては一時的にでも適応している場合もあるからですが、専門である糖尿病の標準的な治療としても、LC食にはエビデンスもなく「とくにすすめられるものではない」といいます。

食物繊維が老化を防ぐ

 前置きが長くなりましたが、動物性食品が多い食事の短所は、ひっくり返せば動物性食品が少なく植物性食品の多い食事の長所になります。
 そのほか、作田さんが注目しているのが、食物繊維です。あたり前の話ですが、食物繊維は植物にしか含まれません。その食物繊維が老化を防ぐというのです。
 テロメアというと、染色体の両端にあるDNAの繰り返し配列のことで、年をとるとともに細胞分裂をして短くなり、老化を促すことが知られます。しかし、テロメレースという酵素を活性化させると、テロメアの短縮が抑えられることがわかってきました。
 そのテロメレースを活性化させるのが、食物繊維に富む全粒穀物や野菜、豆、果物で、食物繊維を多く摂る人ほどテロメアが長くなることが、世界的に権威のある医学専門誌「ランセット」で報告されました。



果物より全粒穀物から摂取

 
食物繊維には、腸内の善玉菌を増やすはたらきもあります。それにより炎症性物質(LPS)ができにくくなります。
 善玉菌は食物繊維を発酵・分解して、短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)をつくります。短鎖脂肪酸は肥満を抑えて代謝を改善し、炎症を抑えて老化を遅らせます。
 また、腸内で短鎖脂肪酸とともに水素を発生させます。水素は、細胞を傷つけ老化の一因となる活性酸素を中和しますが、食物繊維由来の水素が有益かどうかはいまのところはよくわかっていません。ただし疫学的な調査では、食物繊維を多く摂ることがよいのは確からしいとされています。
 食物繊維には水溶性のものと不溶性のものがあります。
 水溶性の食物繊維は腸内で発酵してさまざまな有益な効果を発揮するほか、不溶性の食物繊維はほとんど発酵せず、デンプンの消化を遅くして、食後の血糖の急上昇(食後高血糖)を抑えます。
 食物繊維がいいというと、サプリメントで補おうとする人がいますが、「食物繊維が健康によいという証拠は食事由来の食物繊維でしか得られていない」ということで、作田さんは「食物繊維は食事から摂るべきです」とアドバイスします。
 「食物繊維を多く摂る人は死亡率が低い」ということも確認されており、さらに「全粒穀物や野菜から食物繊維を摂る方が、果物から食物繊維を摂るよりも死亡率を下げる効果が大きい」(『「老い」を遅らせる食べ方』)といい、注目されます。

野菜の硝酸が血管を改善

 
主にホウレンソウなどの葉野菜や大根から摂取される、硝酸(HNO )という成分があります。硝酸は以前は有害と考えられていました。
 ところが近年、硝酸は体内で一酸化窒素(NO)に変換し、血管や心臓などに対して有益な効果があることがわかってきました。
 その一つは、血管の老化を抑えて機能を改善し、動脈硬化の予防や高血圧の治療に役立つというものです。
 二つ目は、運動のパフォーマンスや持久力の向上です。
 三つ目は、ミトコンドリアを多く含む褐色脂肪を刺激し、肥満対策(減量)に有望と考えられます。
 ふつう脂肪は熱をたくわえますが、褐色脂肪は逆に熱を燃やします。冬眠している間にからだが凍ってしまわないよう、クマなどの冬眠する動物にあり、人間は、裸で生まれてくる新生児以外にはないのではとされてきましたが、最近になって大人にも褐色脂肪があることがわかってきました。
 褐色脂肪が刺激されると、熱産生が増え、肥満のほか2型糖尿病の予防にもなります。
 褐色脂肪は、トウガラシのカプサイシン、緑茶中のエピガロカテキン、海藻中のフコサンチンによっても刺激されます。

リンゴも皮つきで食べる

 炭水化物については、精製か非精製かということがあります。もちろん非精製のものの方がすぐれています。
 「老化は精製穀物(白いご飯や白いパン)やシュガーなど不健康な炭水化物を多く摂ると早まり、全粒穀物や豆やナッツなど食物繊維に富む炭水化物を多く摂ると遅くなります」「全粒穀物(玄米や全粒パンなど)を多く摂る者は死亡率が低いことがわかっています」(いずれも同書)
 一物全体食を英語ではホールフードといいますが、素材をそのまま食べる「素材食」といういい方を、作田さんは著書で紹介しています。
 リンゴの皮は抗がん物質に富んでいるほか、サルコペニア予防作用のあるウルソリック酸という物質も含んでいます。リンゴも皮つきで食べる方がいいのです。
 作田さんは、一物全体の対極にあるサプリメンに頼る風潮にも、「サプリメントはエビデンスに乏しい」として批判的な立場です。
 穀物菜食と一物全体というマクロビオティックの基本は、現代科学から見ても、理にかなったものといえそうです。

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作田英成(さくた・ひでなり)
1957年東京生まれ。医学博士。82年に防衛医科大学卒業後、自衛隊中央病院、自衛隊熊本病院などで勤務。97〜99年皇太后侍医(宮内庁出向)。
2007年自衛隊仙台病院副院長、13年自衛隊中央病院診療技術部長、15年同病院総合診療科部長を経て、17年8月に蒲田リハビリテーション病院副院長に就任。
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本内分泌学会評議員・内分泌代謝科専門医、日本医師会産業医。専門は内分泌代謝。