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【免疫力UP情報】オールアバウト塩①

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第32弾は「むすび誌2016年3月号」よりオールアバウト塩の記事をご紹介します。(全回)。
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健康を表すラテン語の salus は、塩(sal)に由来しています。西洋ではもともと塩は健康を維持・増進させるものと考えられていたようです。日本の食卓でもすっかり人気のサラダ(salad)も、同じく塩からきています。

 ところが現代の日本ではその反対に「健康のためには塩を減らそう」という減塩運動が幅を利かせています。「減塩」をうたった味噌や醤油、だし、カレールーなどのほか、果ては「食塩ゼロ」の梅、「塩分1/2」の「健康塩」というのもあります。

 ただし、「食塩ゼロ」の梅は「梅干し風食品」のことで、伝統的な製法によってつくられたものではないので「梅干」とは表示できないため、このような表示になっています。さらに「健康塩」は、塩分を減らした半面、塩化カリウムが含まれ、表示には「腎臓病の方や食事治療中の方は、医師にご相談の上、ご使用ください」と小さい文字ながら明示され、注意が必要です。また、「伝統的な製塩法でつくられた塩の方が、ミネラルがあっていいのでは」と考えていても、「イオン交換膜式だと、PCBや重金属などの有害物質が除去される」と聞けば、つい「へーえ」と思ってしまいます。

 「いったいどっちが正しいの?」と手早く答えを求める前に、まずは塩のことをよく知ることから始めてはどうでしょうか。

 といっても、その塩の世界は奥が深く、世の中にさまざま出回る塩の中でどれが一番いい塩なのかと問われても、専門家によっても意見が分かれます。

 専売制がなくなり、だれでも自由に塩をつくって販売することができるようになって、実にいろいろな塩が流通しています。それらの塩はそれぞれに特徴があり、料理や使い方によって塩を使い分けられることもよくあります。

 今回の特集では、身近な存在ながらあまりよくは知られていない塩に焦点を当て、雑学的な知識から、自然海塩「海の精」でおなじみの海の精株式会社、寺田牧人代表取締役による解説を加えながら、奥深い塩の世界に分け入ってみたいと思います。



塩の話①

人間との深いかかわりと日本での塩づくりの歴史

給与を表す英語のサラリー(salary)が、ラテン語の塩(sal)からきているのはご存知のとおり。古代ローマの軍隊では、給与の代わりに塩が与えられていたといい、お金ではなく塩をもらうのがサラリーマンだったわけです。このように塩は私たち人間と古くから深い関係があっただけでなく、生きていくうえでも絶対に欠かせないものの一つでもあります。改めて人と塩とのかかわりについて調べました。

通貨でもあった貴重な存在悪魔を
追い払う力をもつとも

古代ローマできわめて貴重だった塩は、奴隷の売買でも使われ、奴隷の体重と同じ量の塩で交換されました。一〇〇キロの塩があれば家が一件買える、ともいわれたそうです。塩は通貨でもあったのです。

 また、カトリック教会で新洗礼者に対して舌の上に塩をおくのは、知恵を与えるためにローマ時代に子どもの舌に塩をおく儀式の名残です。

 食事の前に塩をなめ合うというのは、ギリシャやローマでは友情を高め合うことを意味しました。

 中世のイギリスやフランスでは、宴会の席でテーブルの中央に塩が盛られました。重要な人物ほどそのそばに席が設けられて塩を自由に取ることができ、above the salt というと「上座」を表しました。逆に下座や末席は below the salt です。

 聖書の「汝(なんじ)は地の塩である」とう言葉は、塩が生命そのものと考えられたことを物語ります。

 アラビアでは、塩は信頼の象徴であるとともに、不滅や永遠を意味したほか、悪魔を追い払う力をもつと信じられました。

 そのため、塩を衣服の中に隠して、魔法や悪魔から身を守ったり、新しい家に移るときは最初に塩を持ち込んだりしました。

 後者については、縁担ぎや浄化などの目的で玄関先に塩を盛る、日本の盛り塩の習慣を思い起こさせます。

 

経済的な価値を生み出して

フランス革命の原因の一つに

古代エジプトでは、魚は天日に干すか、塩漬けをして食べたとされ、塩蔵魚はシリアなどの外国へ輸出する大切な貿易品でした。

 「すべての道はローマに通ず」といわれるほど繁栄したローマ帝国ですが、ローマに通じる道の中でもっともにぎわったのは塩の道(ViaSalaria)だったとされます。

 のちに塩は修道院の貴重な財源となり、イタリアのベネチアでは塩が主要商品になりました。

 中世になると、バルト海や北海のニシンの塩蔵品が出回るようになります。使われたのは岩塩でした。

 中国では紀元前7世紀、すでに塩の専売制が確立されていたようです。その後、塩に税金をかけるようになりますが、同じようにフランスでも「ガベル(gabelle)」といわれる

塩税が課せられるようになりました。実はこの塩税がフランス革命の原因の一つになったという説があります。

 革命前のフランスでは、塩の原価の二〇倍もの高い塩税がかかり、しかも地域によって課税されたりされなかったりとして不公平感が募りました。さらに塩の密輸が横行して、

密輸にかかわったとして大量の逮捕者が出るなど、塩税が社会問題にまで発展して、革命を引き起こすきっかけにもつながったというわけです。

 1214世紀の西アフリカ内陸部では塩と金が等量で交換されたといい、日本に住む現代人の私たちからは想像もつかないほど、歴史的にみて人類は塩に執着し、塩の生産や流通、消費にかかわる活動は、経済や政治にも大きな影響を与えてきたのです。


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  • 2024年04月25日 16時01分更新
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