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【免疫力UP情報】地産地消の給食提供 宮崎・国見ケ丘病院②

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第23弾は「むすび誌2019年2月号」より食が癒す心のやまいの記事をご紹介します。(全2回)。
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「おいしい食事は重要」
 病院に入院しているほとんどは、認知症患者のお年寄りです。誤嚥防止もあり、刻み食やミキサー食など、それぞれに細かく対応した給食を提供しています。
 植松昌俊院長は「患者さんは食事以外に楽しみはありません」と話します。「おいしく食事が摂れるということは(患者にとって)ものすごく重要なファクター(要因)と考えています」
 植松院長によると、食事の質を良くすることは生活の質を高めるだけではありません。
 「認知症の人は、食に対する興味がなくなり、るい痩(著しい体重減少)で亡くなる場合が多い。そうしたときに、食に興味をもち、おいしいものを食べてもらえて栄養状態が維持できるというのは、大変ありがたいことです」
 栄養状態が良くなれば、褥瘡も予防できるということでした。
 一方、ほかの精神科病院では、病院食を業者任せにしているところが多いようです。経費削減を図るなどの理由もあるようですが、委託業者の事情によっては供給が不安定になる心配もあります。
 植松院長も「患者さんには、昔ながらの田舎っぽい味のものが受けます」と話し、当面は自前での調理を続ける考えです。
 大谷さんは毎月、泊まり込みで、ときには日帰りで、高千穂に通い詰め、地元産の食材を使った小豆かぼちゃや切り干し大根、サツマイモのプリンなどのミキサー食に使える正食のレシピを提案し、ベテランの甲斐啓子さんと新人の松田真由子さんの二人の管理栄養士が栄養量やカロリーを計算して、栄養課で試作を重ねた上でメニュー化していきます。
 「中華どんぶりをつくってほしい」といったリクエストがあれば、どんな材料を使ってどう調理するかなど、レシピも考えます。
 病室を訪問して、患者に給食についての感想や要望を聞くこともしています。

肉や魚を使い切る工夫も
 肉や魚を毎日のように使い、調味料も一般の市販品を用いるなど、一見しただけでは、大谷さんの話すように「正食的ではない」印象ですが、できるだけ皮はむかずにキャベツは芯まで細く切って使う、冷凍食品は使わない、次亜塩素酸ナトリウムではなく電解水素水で野菜を殺菌消毒している、さらに地産地消である、ということを考え合わせると、「給食をつくるときの気持ちなどはすごく正食的といいますか、いい感じでつくっていると思います」と大谷さん。
 皮をむかないというのは、結果的に調理の手間を省くということにもつながっています。
 調味料については、例えば、当初はいろんな種類のたれやドレッシングがあったのを、基本的な調味料を組み合わせて手づくりすることで対応し、できるだけなくしました。
 そうした改善や工夫は、植松理事や栄養課の職員らが中心となって取り組まなければ実現できなかったことばかりです。大谷さんは「私は補助的な役割が中心で、考え方とレシピのお伝えしかしていません」と話します。 
 大谷さんに玄米クリームのつくり方などを学んだこともある管理栄養士の甲斐さんは「ミキサー食にすごく栄養が入るようになりました。寝たきりの人にやさしい食事が提供できるようになったのも、大谷先生のおかげです」と喜んでいます。

食べ残しなくほとんど完食
 一連の給食の改善でもっとも成果が上がったのは、食べ残しがほとんどなくなったということです。
 取材した日に、病院の食堂で患者らが昼食を摂る様子を見学しました。
 続々と集まって行列をつくった患者らは、それぞれのトレーに献立をそろえてもらうと、いつもの決まった席に座るなり、黙々と食べ始めました。
 中には歩行器や車椅子でやって来て、食事をする人もいます。
 配膳する職員は、それぞれに合わせて、刻み食やミキサー食、普通食の献立を選んで渡します。量にも気を配っているほか、中には茶わんに入れたごはんではなく、おにぎりの人もいました。
 寝たきりの人などは各自の病室で食事を摂るので、食堂に足を運ぶ患者は、比較的元気な人たちといえます。
 食べ終わると、トレーを手に食器の返却場所まで運びます。足元に食べ残しを捨てる容器がありますが、ほとんどの人が完食していました。残った汁物が少し捨てられるぐらいです。
 とくに笑顔が見られるというわけではありませんが、出された給食を次々と気持ちよく平らげていく姿からは、食事に満足していることがうかがえます。
 食材の大きさや飲み込みやすさを考え、ちょうどいい量にするといった職員の細かな配慮も関係しているのでしょう。

栄養補助食品の削減にも
 給食は、カロリーや栄養などがきちんと計算されていますから、もし残すようなことがあれば、必要なカロリーや栄養が摂れないということになります。
 すると、必要なカロリーと栄養を補うために、「栄養補助食品」や、特定の栄養成分を補給できる「栄養機能食品」と呼ばれる加工食品が使われることがあります。
 いわゆるサプリメントではなく、ゼリーや飲料などとして摂るもので、大手食品メーカーからいろんな種類が販売されていますが、「おいしくないですね」(大谷さん)など、味についてはおしなべてあまり評判がよくありません。
 植松院長も「(栄養補助食品は)個人的にはあまり好きではありません。食事は出来立てであったかいものの方が、やっぱりありがたい」と話します。
 完食に近い状態になったことで、栄養補助食品などの削減もできました。
 大谷さんは、国見ケ丘病院での取り組みをこれからも続け、できれば高千穂での体験や実績をほかの病院や施設での給食改善にも役立てることができないか、考えています。

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  • 2022年01月20日 15時08分更新
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