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【免疫力UP情報】心の力が 医療を変える②

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第27弾は「むすび誌2015年12月号」より心の力が医療を変えるの記事をご紹介します。(全12回)。
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苦しい状況をうまく乗り越え 回復する力が「心の治癒力」
 ホリスティック医学では、よく自然治癒力、あるいは自己治癒力といいます。
 講演資料で黒丸さんは「自然治癒力の本質はまだ不明な点が多いのですが、主に免疫系や自律神経系、ホルモン系などが大きく関与している」「自然治癒力とは『体の治癒力』のことを意味している」と述べています。
 講演では、自然治癒力のおかげで「病院に来る患者の八割くらいは放っておいてもよくなります」と話し、「体に治癒力があると同時に、心にも治癒力があると思います」と続けました。
 「どんなに苦しい状況があったとしても、人というのはそこをうまく乗り越えて、なんとか回復する力をもっている。その力がまさに心の治癒力」
 さらに、「ホリスティック医学的な考え方で患者をみていくと、いろんな治療法や治癒力を大切にしますが、いちばん大切なのは心の部分だと思います」ということでした。
 例えば、患者の心の状態を考えれば、治療自体を適切に行うだけでなく、医療提供者が患者に対し、事務的にではなく、納得するまできちんと説明するなど、「きめ細かな対応そのものが、患者の病気が治る、治らないに影響を及ぼすことがある」ということです。

原因探しは「正反対の視点」 患者との信頼関係を土台に
 それでは、そもそも患者の悩み事や心については、どう接しているのでしょうか。
 黒丸さんは「通常、悩み事があると、問題の原因を見つけてそれを取り除くことで、問題を解決しようと考えます。しかし、僕はそうは思いません」とキッパリ。
 というのは、原因を探ろうとしても、幼少期の体験、人間関係、食べものや環境など、さまざまな要因が複雑に絡み合って、特定の要因にたどり着くのは困難であること、そして仮に原因がわかったとしても、本人にとっては、その原因を取り除いたり修正することはとても難しいからです。
 また、「せっかく忘れていた嫌な思い出をわざわざ思い出そうと思うと、それだけで落ち込んでしまいます。心の治癒力を引き出すというのとはまったく正反対の視点で、適切ではないのでは」とも。
 まさに「心の治癒力を引き出す」ために黒丸さんが考えた、原因を探ること以外の方法について、以下の臨床例を挙げました。

 黒丸さんは「患者との信頼関係をつくるのがきわめて重要。それが心の治癒力を引き出す土台になります」と強調します。
 その上で、「あるていど恩を売ったら、恩を返してくれる」という人間の心理特性を利用したり、患者本人に自分が決めたことのように思わせたりと、良好な信頼関係を維持しながら、お互いによりよい方向に導くための手法を紹介しました。

問題ばかりを考えやすいが できていることに注目する

 この女性を前にした黒丸さんは、親子心中や自殺をしてもおかしくないような状況に追いつめられながら、ここまで頑張ってきたことにふれると、女性から次のような言葉が伝えられたそうです。
 「実はいま介護の仕事をしている。週に一回、あるおじいちゃんのところに行くと、『あなたのおかげで本当に助かっている』と、すごく自分のことを認めてくれる。こんな自分でも生きてる意味があるのかなあ。だからやっていけるのかなあ」
 黒丸さんは「問題を抱えている人は、つねに問題のことばかり、いかに自分が不幸かばかりを考えています。それはしょうがないですが、その思いにどっぷりつかっている限り、たぶんその枠から抜け出てこられない。じゃあ、どうするか。その人にとって、それだけのつらい状況でありながらもできていること、できそうなことに注目することです」とアドバイスしました。
 その点に注目してカウンセラーらが上手に引き出すことで、「自分はできているという、このちょっとした気づきの積み重ねが人を変えます。これが心の治癒力」と話しました。

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黒丸尊治(くろまる・たかはる)
1959年生まれ。87年信州大学医学部卒。洛和会音羽病院心療内科を経て、2002年から彦根市立病院緩和ケア科部長を務める。「希望」がもてる緩和医療をモットーに日々の臨床に励む一方、心の治癒力をうまく引き出すためのコミュニケーション法の啓発や普及にも取り組んでいる。
  • 2022年12月02日 17時05分更新
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