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【免疫力UP情報】お口から考える食育⑧

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第26弾は「むすび誌2016年10月号」よりお口から考える食育の記事をご紹介します。(全12回)。
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傷を早く治し、がんや虫歯にも有効な唾液

唾液に30秒浸せば毒消しに
 唾液にさまざまな効用があることは、よく知られています。
 その一例として、岡崎さんは、ネズミを使ったある実験結果にふれました。
 背中の皮膚を一センチ四方切ったネズミを、単独で飼った場合と数匹を同時に飼った場合とでは、二日後に確認すると、単独だと傷口が20%しか治らなかったのに、数匹の場合だと75%も治ったのです。
 どうして四倍近くもの差がついたのでしょうか。一匹だけだと自分の背中をなめることはできません。でも、仲間がいれば、お互いに背中をなめ合うことができます。
 「唾液には傷口を早く治す作用があるということがわかります」と岡崎さん。けがをしたら傷口をなめる、口の中の傷は治りが早い、というのは、多くの人にも経験があることではないでしょうか。
 抗菌作用のほか、唾液には、発がん作用を無毒化する作用のあるペルオキシターゼという酵素が含まれています。
 さまざまな発がん物質を唾液に三〇秒間浸すと、顕著な毒消し効果が得られることからも、食べものをよく噛んで、唾液と十分に混ぜ合わせることが大切です。
 「昔から、『よだれの多い赤ちゃんは丈夫に育つ』『唾液の多い人は長寿だ』と言われます。唾液が多いということは、それだけ体を守る防衛力が高いのです」

味覚異常のほかその後も心配
 子どもたちの味覚異常についても、唾液の少なさが関係していることも考えられます。
 「(食べものに含まれる)味覚物質が唾液に溶けて、舌が味として感じます。ということは、唾液が出ないと味を感じられない。唾液腺の発達は二〇歳くらいがピークだといわれ、ピークが低くなるということは、(そのあと)その子は早く唾液が出なくなるということの裏返しでもあります。これもとてもゆゆしき問題です」
 大人になって以降に唾液の分泌が低下すれば、味覚異常だけでなく、虫歯や歯周病にもなりやすく、口腔乾燥症、義歯と接する部分の痛み、口臭などに悩まされることになります。

歯を再生し硬くする作用も
 唾液は虫歯予防にも寄与しています。
 虫歯菌として知られるミュータンス連鎖球菌は、ショ糖を消費して酸をつくり、その酸によって歯垢中の酸性度がpH5・5以下になると、歯の表面が溶け出します。脱灰といわれる現象です。
 唾液には、酸性化した歯垢を中性化する力があります。その元に戻す力は、「健康な人で、普通の水の一万倍から一〇万倍」(岡崎さん)にもなります。
 また、穴の開き始めの初期の虫歯も、歯垢を取り除いて丁寧に歯磨きをしていれば、唾液に含まれるカルシウムが再石灰化して、歯を元に戻すのです。
 「だんだん歯を硬くするのは唾液。歯においても、唾液はそれだけ大事です」
 唾液を止めてしまう「流し込み食べ」、やめましょうね。

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岡崎好秀(おかざき・よしひで)
1952年大阪生まれ。愛知学院大学歯学部卒。大阪大学歯学部小児歯科学科を経て、84年より岡山学院大学部・歯学部附属病院小児歯科講師を務める。2013年に岡山大学を早期退職し、国立モンゴル医科大学歯学部客員教授ん就任。専門は、小児歯科、障害児歯科、健康教育。著書に「カミカミ健康学 ひとくち30回で107さい」(少年写真新聞社)「カムカム大百科 歯科医から見た食育ワンダーランド」(東山書房)など
  • 2022年09月08日 11時15分更新
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