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【免疫力UP情報】危機的な状況から和食の復活を④

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第25弾は「むすび誌2015年9月号」より食育シンポジウム「豊かな食卓 和食を未来へ」をご紹介します。(全5回)。
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家族団らんは食卓から

終戦後の食糧難時代の食卓は 団らんではなくしつけの場
 岩村さんが一縷の期待を寄せる、和食の無形文化遺産登録は、一昨年暮れに実現しました。
 登録に向けての運動の中心になり、登録後は和食文化国民会議のリーダーとして、積極的に和食の保護・継承に努めているのが、熊倉さんです。本誌では3月号にご登場いただき、インタビュー記事を掲載しました。
 戦時中の1943年生まれの熊倉さんは、終戦直後の食料難の時代に食べ盛りの子ども期を過ごしました。シンポジウムでは、食べものや甘いものに飢えた体験をもち、「食いしん坊でおいしいものを食べたいというのが高じて、食文化の研究者になりました」と振り返りました。
 子ども時代、家庭の食卓は楽しいものではなく、「決して団らんの場ではありませんでした」と熊倉さん。
 親から「黙って食べろ」「正座して食べろ」「ひじを張るな」などと細かく注意され、緊張して食べていました。団らんどころか、「厳しいしつけの場」でした。
 昔は、団らんといえるような場は、食卓ではなく、夕食後から風呂に入るまでの間や夕涼みのときなどで、子どもに昔話を聞かせたりしていたようです。テレビもラジオもないような時代は、家族がいっしょにいる時間には事欠きませんでした。

「和食を真剣に考えることは 団らんを復活させることでは」
 熊倉さんによると、「家族の団らんは食にある」と初めて言ったのは、明治から昭和初期にかけて活躍した社会主義者の堺利彦(1871?1933)で、明治30年代のことです。しかし実際は、熊倉さんが経験したように、戦後間もない時期までは、食卓は団らんの場ではありませんでした。
 ところが、ユネスコに提出した提案書では、和食の特色の一つとして、食をとおして、年中行事であれば地域のきずなを、家庭であれば家族のきずなを深める―つまり団らんを形成してきた食文化であることが明記されています。
 岩村さんの話を受けて、熊倉さんは次のように話しました。
 「日本の食卓は、昭和30年代ぐらいまでは、どちらかというと栄養不足で、あまり豊かではありませんでした。食卓の中身が本当に豊かになってきたのは1960年代以降だと思います。そのときに、岩村さんの話だと、大変な変化が起こった。なるほどと思いました。豊かになることと、伝統が失われるということは、どこかつながってくるのかもしれないという気がしました」
 「食が家族の団らんになっていくのは、逆に和食が崩壊し始めた頃ではないか」という熊倉さんの指摘は、とても示唆的です。
 「家族のあり方が変わってきている」という岩村さんの考察に対し、熊倉さんは「食が家族を再形成する力になりえるのかどうか。ここが、和食だけではない、食を考えていく非常に大事なポイントになってくるという気がします」と応じました。
 「いずれにしても、和食というものをわれわれが真剣に考えることは、ある意味で、近代がつくってきた食の団らんを復活させる仕事になってくるのではないでしょうか」

愛情ホルモンのオキシトシン 家族で食卓を囲めば効果は大
 団らんに関係して、医学博士でもある服部さんは、「愛情ホルモン」とも称されるオキシトシンのはたらきについて解説しました。
 服部さんによると、主にアメリカで研究の進むオキシトシンは、産後の女性のからだや乳腺を元に戻す作用があることがわかってきました。
 「産んだばかりの赤ちゃんに初めてお乳をあげた瞬間に、その刺激でオキシトシンが脳下垂体から出ると、母性本能にスイッチが入ります。すると『かわいい。この子をなんとかしないといけない』となる。赤ちゃんにもオキシトシンがお乳をとおして入り、赤ちゃんもお母さんを好きになります」
 オキシトシンは、猫をなでていても、なでている人間となでられている猫からもともに、分泌されるそうです。オオカミを除くほ乳動物すべてにオキシトシンが作用するということでした。
 人間でいえば、家族がそろって食卓を囲んで食事を楽しむことで、親や子どもみんなにオキシトシンが分泌されます。
 「児童虐待は一〇年間で一二倍に増えました。虐待をなくすためにも、家族みんなで食事をしましょう。そして、これから子どもをもつ女性は、必ず自分の母乳をあげて下さい。(保育園などに)預けたときは、お乳を搾ってでも、ほ乳瓶に入れてあげるように」
 服部さんは「今年の流行語大賞をオキシトシンにしたい」とアピールしました。

【免疫力UP情報】危機的な状況から和食の復活を⑤へ
  • 2022年04月28日 11時16分更新
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