ブログ「マクロなポケット」Blog

【免疫力UP情報】食で未病を治す断食療法の再評価③

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第21弾は「むすび誌2017年4月号」特集「医と食 健康フォーラム」より渡邊昌氏の講演をご紹介します。(全3回)。
-----------------------------------------------------------------------------------
老化を受け入れて健康を保つ 寝たきり予防で健康寿命実現
 75歳になったばかりの渡邊氏は、とくに75歳以上の後期高齢者対策にも関心を寄せています。
 「75歳以上の生き方というのは、いつまでも若いときの体力を保つという生き方と、老化を受け入れつつ健康を保つという生き方と、二つあります。前者はいわばアメリカ人的なやり方で、後者はヨーロッパ人とか日本人にわりに多い考え方で、食・こころ・からだで有意義な人生をめざしましょうということになります」
 さらに「西洋の栄養学は、食とからだはいいのですが、こころはあまりないですね。有意義な人生、めざす先がきちっと示されていない。その点で、これは日本の養生学のすぐれたところだと思っています」と指摘しました。
 「健康寿命を延ばすためには、寝たきりを予防すること」という渡邊氏は、寝たきりの原因について、厚労省の調査結果を示しました。
 それによると、約三分の一が脳血管疾患や心疾患、呼吸器疾患、糖尿病、がんといった生活習慣病関連で、半分を認知症や老齢による衰弱、関節疾患、骨折・転倒という「老年症候群関連」が占めています。

高齢者のフレイルサイクル 摂食支援の取り組みも必要
 最近、高齢者の健康問題に関連して、フレイル、またはフレイルサイクルという言葉を聞くようになりました。
 「フレイルサイクルというのは、老人性の虚弱みたいなものです。これは、年をとると基礎代謝が多少下がる。そうすると食欲が低下して摂取量が減ってくる。すると体重減少が起き、筋肉が減って、サルコペニア(筋力低下)という状態になってくる。それが身体機能や活動量の低下につながり、また消費エネルギーが減る、というようにどんどん悪くなっていってしまう。ですから、そのサイクルをどこかで止めないといけません」
 岡崎氏の講演に関連して、「口腔フレイル」という言葉も紹介した渡邊氏は、高齢者への摂食支援についてもふれました。
 渡邊氏によると、老人施設を対象にした調査で、「食べたいものを食べられる」と答えた人は四分の一、「たいていのものは食べる」人は三分の一で、ほか「食べにくいものがある」「ほとんど噛めない」「流動食」という、噛むことに問題を抱えている人も三割を占めています。その中には、「入れ歯が合わない」「口内炎がある」といった訴えもあるようです。
 認知症患者への食介入も積極的に行われるようになっていますが、個別に細かく対応しなければならず、現場では苦労があるようです。
 中には、まったく食べられなかった高齢者が、あるとき「うな丼が食べたい」と言い出して、介護している人たちが「本人が希望してるんだから」と用意すると、ゆっくりでもぺろっと平らげ、その次の日から普通食を食べるようになったという例もあるそうです。
 そんなエピソードを披露した渡邊氏は「人間のこころというのは不思議ですね。どこかうまくつながっていて、そちらの方向に改善してしまうことがある、ということだろうと思います」

一覧へ戻る
-----------------------------------------------------------------------------------
渡邊昌(わたなべ・しょう)
1941年、平壌生まれ。医学博士。慶應義塾大学医学部卒。同大学院病理学専攻、アメリカ国立癌研究所、国立がんセンター病理部を経て、同疫学部長。その後、東京農業大学教授、国立健康・栄養研究所理事長を歴任し、現在は、公益社団法人生命科学振興会理事長として専門誌「ライフサイエンス」「医と食」を主宰。一般社団法人統合医療学院学院長、NPO法人日本綜合医学会会長も務める。これまでに厚生科学審議会、内閣府食育推進評価専門委員会座長など政府の各種審議会委員を歴任。
  • 2021年09月17日 16時56分更新
  • ブログカテゴリー: