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【免疫力UP情報】食で未病を治す断食療法の再評価②

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第21弾は「むすび誌2017年4月号」特集「医と食 健康フォーラム」より渡邊昌氏の講演をご紹介します。(全3回)。
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BMI25は病気になりにくい 月2キロ減以上はリバウンド
 「何をどれだけ食べればよいのか」ということについては、渡邊氏は「25前後のBMIを、男女とも保つようにすることが理想」と説きました。
 BMI(体格指数)は、体重(キログラム)を身長(メートル)で二回割り算をして算出します。一般に22が標準体重とされ、25以上が肥満、18・5未満が低体重とされます。
 渡邊氏によると、「20?25ぐらいが、あらゆる病気になりにくい」そうです。
 さらに「食べるものと消費するもののバランスが取れていれば、体重は変わりません。2016年の食事摂取基準も、それまでは年齢ごとに『○○キロカロリー食べなさい』なんて、難しい話だったのですが、『体重を保ちましょう』というとてもシンプルな目標に変わりました」と話し、25前後を保つことを勧めました。
 具体的な体重のコントロール方法の一つとして、次のような考え方を示しました。
 「脂肪1キロは7000キロカロリーですから、7000キロカロリーずつ余分に食べれば(1キロ)太りますし、それだけ減らせば(1キロ)やせるということです。7000を30(一か月の日数)で割ると230ぐらいになります。230キロカロリーというのは、だいたいごはん(米飯)一杯分です」
 「だから、毎日ごはんを一杯ずつ減らしていけば、だいたいひと月で1キロずつ減っていくはずです。それを無理矢理、ひと月に5キロも10キロも減らすと、必ずリバウンドがきます。ひと月2キロが限界で、それ以上減らすとリバウンドがくるというふうに考えた方がいいです」
 また、同じナスを調理した場合、ゆでた場合に比べ、フライにするとエネルギー量が10倍にも増えるなど、調理方法によってかなりの差が出ることを説明しました。
 「食欲が落ちた人、とくに老人になって食事量が減ってきた場合には、油をうまく使ってカロリーを増やすのがいいと思います」

玄米菜食でときどき断食を 腸内細菌がケトン体に関係か
 渡邊氏が推奨する食生活は、「基本的にときどき断食をして、合間は玄米菜食できちっとやっていくのがいいのでは」というものです。
 断食や小食による健康法を説いた甲田光雄医師の研究にも努めた渡邊氏は、甲田氏の弟子の中で第一人者といわれる鍼灸師の森美智代氏を例に、話しました。
 森氏は一日一杯の青汁だけで健康に暮らしています。渡邊氏によると、「断食したときだけちょっと血糖値が下がりますが、すぐ元に戻ります。体重は50キロ前後を保っている」そうです。
 「(森氏を)いろいろ調べた結果、ケトン体が3000マイクロモルぐらいと、非常に高いことがわかりました」
 人体の活動エネルギーは、まず炭水化物(糖質)からつくられますが、ブドウ糖がなくなると、脂肪酸をケトン体と総称される物質に分解して、エネルギー源として活用します。
 「何がケトンをつくっているのかというと、たぶん腸内細菌が関係しているのではないか。甲田先生の説というのは、腸の環境を健康に保つのがとても大事であり、そうすれば健康体を保てる、ということであろうと思われます」

玄米と具だくさんの味噌汁 副食は 「まごわやさしい」 に
 宮沢賢治の詩の中にある「玄米と少しの野菜を食べ」を参考に、玄米と具だくさんの味噌汁だけでどれだけの栄養が摂れるのか調べたところ、「厚労省がこれだけは必要だという量に比べて、必要なミネラルのほとんどが数倍も摂れてしまいます。ビタミンも、B1B2、ナイアシン、B6、葉酸とかパントテン酸も摂れてしまいます」。
 その上で「玄米と味噌汁だけで完全食なんです」と結論づけました。
 さらに、在宅の独居老人の給食サービスについて、「行政が外部委託でやろうとすると、見栄えのいいソーセージとか唐揚げとかを入れるに違いありません。そういうのは健康によくないから、玄米おにぎり二つぐらいと味噌汁に一本化したらどうか」というアイデアも紹介しました。
 副食については、「豆、ごま、わかめ(海藻)、野菜、魚、しいたけ(きのこ類)、いも類」という「まごわやさしい」食がいいと説きました。
 一日に必要な熱量(カロリー)としては、80キロカロリーを一単位として、体重×0・4単位をふつうの成人の目安にして、タンパク質は体重×0・8グラム以下、野菜と果物は350グラム以上を摂るようにという、健康長寿のための食事を示しました。

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渡邊昌(わたなべ・しょう)
1941年、平壌生まれ。医学博士。慶應義塾大学医学部卒。同大学院病理学専攻、アメリカ国立癌研究所、国立がんセンター病理部を経て、同疫学部長。その後、東京農業大学教授、国立健康・栄養研究所理事長を歴任し、現在は、公益社団法人生命科学振興会理事長として専門誌「ライフサイエンス」「医と食」を主宰。一般社団法人統合医療学院学院長、NPO法人日本綜合医学会会長も務める。これまでに厚生科学審議会、内閣府食育推進評価専門委員会座長など政府の各種審議会委員を歴任。
  • 2021年09月09日 15時59分更新
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