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【免疫力UP情報】現代に生きる身土不二①

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第19弾は「むすび誌2017年12月号」より特集「現代に生きる身土不二」をご紹介します。(全4回)。
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味噌は高血圧や脳卒中を抑える
広島大学名誉教授の渡邊さんらが研究


卒中とは、卒=「突然に」何かに「中たった」ように倒れることです。多くの場合、「脳卒中」として使われます。医学では脳血管障害と呼ばれ、動脈硬化などによる脳梗塞、高血圧などで起こる脳出血、動脈瘤が破裂して起こるくも膜下出血の3つが主にあります。広島大学名誉教授で理学博士・医学博士の渡邊敦光さんを中心としたグループは、味噌が血圧の上昇を抑え、脳卒中を抑制する効果があることを、ラット(ネズミ)を使った実験で明らかにしました。

特別なラット3群で比較実験
 渡邊さんたちが使ったのは、1%の塩分でも血圧が上昇し、脳卒中を起こしやすくしたSHRSPという、京都大学が実験用に開発した特別なラットです。
その4週齢のラットのオス12匹ほどを1群として、次の3群に分けました。

 【高食塩群】味噌なしで高塩分(塩分濃度2・8%)の餌を与えた群
 【味噌群】同じ2・8%の塩分濃度の味噌を含む餌を与えた群
 【低食塩群】味噌なしの通常の餌(塩分濃度0・3%)を与えた対照群

 つまり、通常の餌の10倍近い塩分が含まれた餌を与えると、高純度の塩化ナトリウムを摂取した場合と、味噌で摂取した場合とで、脳卒中になる確率に差があるのかを調べたのです。
結論からいえば、同じ高塩分の餌でも、味噌で摂った方が脳卒中になりにくいことがわかりました。

血圧上昇が緩やかな味噌群
 実験では、餌を与え始めて、朝、昼、晩に観察を続けました。すると、元気に動き回っていたラットが、あるとき突然に動かなくなり、ひくひくし始めます。脳卒中が起きたのです。
実験開始から64日後には、高食塩群のラットは12匹すべてが脳卒中になりました。味噌群では11匹中5匹と半分以下にとどまりました。低食塩群の餌では12匹中2匹でした。
SHRSPラットは、通常の餌を食べた低食塩群でも血圧の上昇が見られ、1か月余りで高い方の収縮期血圧が200mmHgを超えました。
 一方、高食塩群では血圧の上昇が早く、1か月前に200mmHg に達して、早期に脳卒中を起こしていました。
味噌群は、同じ食塩濃度の餌を食べていたのにかかわらず、血圧の上昇は高食塩群より緩やかで、低食塩群並みでした。
 実験により何匹のラットがいつ死亡したかを調べても、低食塩群と味噌群では、脳卒中による死亡率は味噌群の方がやや高かったものの、統計学的な有意差はありませんでした。しかし、味噌群と高食塩群では有意差が認められました。

【図1】
【図1】脳卒中になった高食塩群の脳に見られた大出血斑(左の写真)。
その右は、低食塩群と味噌群で確認された、顕微鏡で確認できるほどの小さな出血の写真。
下のグラフは、Low salt(低食塩群)とMiso(味噌)では小出血のみが確認され、High salt(高食塩群)では小出血とともに大出血が見られたことを示している。

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渡邊敦光(わたなべ・ひろみつ)
1940年福岡県生まれ。熊本大学理学部卒、九州大学大学院博士課程理学研究科修了。理学博士、医学博士。1973年広島大学原爆放射線医科学研究所で助手、助教授を経て1996年教授。その間アメリカ ウイスコンシン大学、イギリス パターソン研究所で主に放射線生物学の研究を重ね、2004年退官後も名誉教授として日々研究を続けている。
専門は実験病理学と放射線生物学で、幹細胞に興味を持ち、長年にわたり、がんがどのように生まれ進展するか、どうすれば予防できるかの研究を続けている。一方で1980年から、味噌の有効性について動物実験に基づく研究を本格的に始める。どちらのテーマについても論文、講演での発表は多い。
  • 2021年05月28日 13時14分更新
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