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【免疫力UP情報】健康長寿の食習慣のために③

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第16弾は「むすび誌2017年7月号」より渡邊昌氏の講演のハイライト記事です(全5回)。
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運動が血圧や血糖値を抑える 食物繊維は循環器病に有効

 血糖値の話が続きましたが、渡邊さんは「実は糖尿病というのは、血糖が高い病気ではなくて、合併症を予防するのが治療の一番のキーポイント。そういう意味では血圧の方が大事なんです」と話しました。
 渡邊さんの血圧は「糖尿病になったときは155―90もありましたが、いまはコンスタントに125―75ぐらい」。
 「血圧を低く保つために必要なのは運動」ということで、毎日1万歩を目標に運動しているそうです。食後血糖値が上がったときは、自転車型のエルゴメーターを30分ほど漕ぐと、ストンと落ちるといいます。
 「心臓病などの循環器病は、糖尿病の人はそうでない人に比べて2倍ぐらいのリスクがある」とも指摘しました。
 そこで利用したいのが、食物繊維です。
 「食物繊維を十分に摂っていると、循環器病のリスクが下がります。とくに女性は3割以上も下がります。男性も禁煙すれば、3?4割は心筋梗塞が減る可能性があります」
 食物繊維を豊富に含む身近な食べものといえば、お米です。
 米食国の日本と中国の2か国、非米食国のオーストラリアやブルガリアなど8か国で、心筋梗塞による死亡率(10万人あたりの死亡数)を比較すると、男性で非米食国が500人ほどなのに対して、米食国では約100人と5分の1です。女性でも、米食国では半分以下でした。図1参照

求められる適切な食事療法 料理教室講師や指導員に期待

 薬とのつき合い方も見直した方がいいかもしれません。
 国の「健康21(21世紀における国民健康づくり運動)」の調査では、糖尿病患者は、多い順に①経口薬 ②食事療法 ③運動療法―による治療を受けていますが、患者が希望する治療としてもっとも人気があるのは運動療法です。
 その次に食事療法ときて、経口薬は3番目と、実際に受けている治療とは順番が正反対です。
 渡邊さんは、「食については、内科の先生も知らない。管理栄養士は、栄養のことはよく知ってるけれども、病気のことはあまり知らない」として、聴講している正食クッキングスクール講師や指導員らに、「こういうところ(食事療法への要望)が、あなた方が担わないといけないところです」と期待感を示しました。
 「慢性病の薬を使っている人は、寛解という概念を取り入れて、薬剤中止のタイミングを計るというのが大事じゃないかと思っています」
 渡邊さんは、血圧が100以下なのに降圧剤を飲み続けている人に遭遇した経験を話しました。
 高血圧と診断されて処方される降圧剤。渡邊さんは「血圧を下げる薬を飲めば血圧は下がりますが、必要な血液が脳にいかなくなって、認知症のもとになってしまうこともあります」と注意を呼びかけました。
 氷山をモデルにした図2を示した渡邊さんは、次のように説明しました。
 「昔は、高血圧とか糖尿病、通風、脂質異常症という診断がつくと、一つ一つに薬をいっぱい出していました。そこで、例えば肥満を解消すると、氷山が溶けて全部の山が水面下に下がってくるように、こういった症状はみんななくなってしまいます。それを目ざして、生活習慣でからだつきを変えるというのが大事です」

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渡邊昌(わたなべ・しょう)
1941年、平壌生まれ。医学博士。慶應義塾大学医学部卒。同大学院病理学専攻、アメリカ国立癌研究所、国立がんセンター病理部を経て、同疫学部長。その後、東京農業大学教授、国立健康・栄養研究所理事長を歴任し、現在は、公益社団法人生命科学振興会理事長として専門誌「ライフサイエンス」「医と食」を主宰。一般社団法人統合医療学院学院長、NPO法人日本綜合医学会会長も務める。これまでに厚生科学審議会、内閣府食育推進評価専門委員会座長など政府の各種審議会委員を歴任。
  • 2021年02月16日 16時45分更新
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