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【免疫力UP情報】健康長寿の食習慣のために①

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第16弾は「むすび誌2017年7月号」より渡邊昌氏の講演のハイライト記事です(全5回)。
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生命科学振興会理事長でNPO法人・日本綜合医学会の会長も務める医師の渡邊昌さんは、今年1月に開催した「医と食 健康フォーラム」(正食協会主催)で、病気になる前の「未病」に注目した健康づくりなどについて講演していただきました。
テーマは「糖尿病の食事療法」。薬を使わず食事と運動だけで糖尿病を克服し、マラソンを完走するまでに元気になった渡邊さんの話も、主に食の視点からいかに健康長寿を目ざすかという内容です。特集記事の一つとしてお読み下さい。

戦後から38倍も増えた糖尿病 重い合併症は大変な悲劇に

戦後、食生活の変化とともに、病気は増加の一途をたどりました。
 渡邊さんが示した資料によると、戦後から2010年にかけて、胃がんは横ばいだったものの、肝がんは3・5倍に、結腸がんは7・5倍にまで増えました。糖尿病にいたっては38倍です。
 一方、食生活の方は、同時期に脂肪摂取量が4・6倍に、動物性タンパク質も5倍に増加しました。
 病気が急増した原因について渡邊さんは「明らかに、食生活を主体とした変化がもたらした結果」と指摘しました。
 糖尿病についてみると、2011年の統計では、糖尿病が強く疑われる成人(20?79歳)の糖尿病人口は約1067万人。同成人全体9534万人の11・2%にあたります。
 年齢層別では、20?39歳では5・9%ですが、40?59歳になると33・3%に跳ね上がります。3人に1人は糖尿病になる可能性があるのです。60?79歳だとさらに60・8%に上昇し、糖尿病にならない人の方が少数派になります。
 糖尿病患者1人あたりの平均医療費は年間約28万円。渡邊さんによると、人工透析を受けると年間で1人平均500万円もかかります。
 透析患者は約3万人いるといわれ、単純に計算すると年間約1500億円。透析費用だけでも膨大な金額に上ります。
 糖尿病で恐ろしいのは、重い合併症。「足を切ったり、目が見えなくなる人もいます。成人になってからの失明は大変な悲劇です。点字なんか勉強できません」と、渡邊さんは合併症の怖さを語りました。

脂肪太りはインスリン抵抗性 高インスリンが続けば不足

 怖い糖尿病ですが、発症の仕組みはかなりわかってきました。「一つはインスリン不足、もう一つはインスリン抵抗性です」
 インスリン抵抗性は、インスリンが分泌されてもうまくはたらかない状態を指します。渡邊さんによると、脂肪による阻害が原因の一つで、「脂肪太りの人はだいたいインスリン抵抗性です」。
 インスリン不足は、「食後高血糖になる人は、インスリンがどっと出ます。高インスリン血症の時代が数年あると、インスリン不足になるという考え方です」。
 糖尿病の診断基準の一つは、2回の測定で空腹時血糖値が126(mg/dl)以上になること。
 最初の測定で126以上なら、本来ならその後3か月間で食事療法と運動療法でコントロールし、もう一回測定しなければいけないそうですが、現実には最初の測定で126以上の血糖値とわかれば、すぐに血糖値を下げる薬を処方する医師が珍しくないようです。
 ほか、随時血糖値が250以上、Hb(ヘモグロビン)A1cが6・5%以上、食後血糖値が160以上、グルコアルブミンが25%以上という基準があり、「どれが引っ掛かっても糖尿病の薬を処方されます」。

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渡邊昌(わたなべ・しょう)
1941年、平壌生まれ。医学博士。慶應義塾大学医学部卒。同大学院病理学専攻、アメリカ国立癌研究所、国立がんセンター病理部を経て、同疫学部長。その後、東京農業大学教授、国立健康・栄養研究所理事長を歴任し、現在は、公益社団法人生命科学振興会理事長として専門誌「ライフサイエンス」「医と食」を主宰。一般社団法人統合医療学院学院長、NPO法人日本綜合医学会会長も務める。これまでに厚生科学審議会、内閣府食育推進評価専門委員会座長など政府の各種審議会委員を歴任。
  • 2021年01月30日 15時00分更新
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