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【免疫力UP情報】なぜ「有機」なのか、何が「安全」なのか理解し自覚した上で答えられるために 下①

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第6弾は「むすび誌2016年6月号」~「むすび誌2016年7月号」までの連載より藤井淳生・安心農業株式会社社長の合同講義録(上・下)の記事です(全4回)。
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無農薬はカビ毒残留の心配も「ちゃんと知ってから選択を」

 量が大事という話は、食品添加物や農薬をどう考えるかにもかかわってきます。
 例えば、小麦にできる赤カビにより、デオキシニバレノールというカビ毒が発生します。そこで、チオファネートメチルやデルコナゾール、メトコナゾールといった農薬を散布すると、農薬を使わない場合に比べて、カビ毒を半分以下に減らすことができます。
 藤井さんによると、デオキシニバレノールのADI(一日許容摂取量)は、体重一キログラムあたり〇・〇〇四ミリグラムですが、メトコナゾールはその一〇倍の〇・〇四ミリグラムです。
 ということは、個人差があるので一概にはいえませんが、赤カビの毒より農薬の方がまだましといえそうです。
 「無農薬というのをやたらにありがたがるよりは、もしかしたらカビ毒がその小麦の中に残ってるかもしれないという可能性をちゃんと知っておこう、ということなんです。その上で、自分はどっちを選ぶか。ここが大事なんです。こういうことをきちんと説明できるように、ぜひなっていただきたい」と藤井さん。
 そのためにも、ppmが「一〇〇万分の一」を示す単位であることなどを理解し、「数字や単位にも強くなりましょう」と呼びかけました。

小規模で高齢化が著しい農家 事故死は建設業上回る4百人

 有機農家でもある藤井さんは、日本での農薬の実態や、使用量が多い背景などについても話しました。
 「単位面積当たりで考えると、日本の農薬使用量は確かに世界でトップクラスです。しかし、農薬を使わないといけない理由というのが、いろいろあります」
 理由の一つは、農家の高齢化です。
 農家の平均年齢は六七・一歳。手で草を取るのはもちろん、重さが数キロもある草刈り機を背負っての農作業の大変さを考えれば、藤井さんの言うように、「そんなに危ないことをするくらいなら、除草剤使ったらどう? って、言いたくなりませんか」という話には説得力があります。
 しかも、農地は中山間地といわれる、作業の大変な山あいに多くがあり、農業所得が一〇〇万円に満たない小規模農家が全体の六割を占めているのです。
また、農薬を大量に使っているといっても、全使用量の半分以上は除草剤です。「収穫した野菜には除草剤はかかっていないはず」と藤井さん。
 のんびりとした田園風景とは対照的に、農作業は危険と隣り合わせです。使い方を一つ間違えると危険なこともある機械を扱う農作業では、不慮の事故による死者は年間四〇〇人にも上ります。
 過去に死亡事故の多かったのは建設業ですが、だんだんと減って現在は年間の死者数が三〇〇人くらいといいますから、死者数だけでみると農業は建設業を軽く上回っています。それぐらい危険な仕事で、高齢者がわずかな賃金のために懸命に農地を守っているのです。

安全を脅かす多数のハザード 食中毒で後遺症が残ることも

 食品安全にかかわる人たちは、健康を害する恐れのあるものすべてを引っくるめて「ハザード」と呼びます。
 農薬だけでなく、のどに刺さる魚の骨もハザードです。アレルギーのある人は、アレルギー症状を引き起こすアレルゲン。人工合成された化学物質のほか、ジャガイモの芽など、自然界にもたくさんのハザードがあります。中には、不適切な調理方法によって発生するハザードもあります。
 「買ってきた野菜を、有機だ、無農薬だ、だからそのまんま食べられるわよ、なんて、洗わないで食べたりする人がときどきいますけど、あれはやめた方がいいですね。農産物は、糞便だとかに汚染される可能性が十分にあるので、ちゃんと洗って下さい」
 実際、藤井さんの経験では、あまり衛生的でない場所に、収穫した野菜が無造作に置いてあったりすることが珍しくないようです。
 農水省のモニタリング調査でも、農産物からサルモネラ菌やО―157は検出されなくても、「大腸菌はけっこう見つかる」そうです。
 食中毒というと、時間の経過とともに症状が治まって完治する、というイメージがありますが、最近では、きちんと解毒されないまま残留して、後遺症が残ることがあるということがわかってきました。
 さらに藤井さんは、「個人情報にふれそうなことばかりですけど」と前置きをして、料理教室の受講生の安全を考えて、受講生らにアレルギーの有無やアレルゲンの種類、既往症などのアンケートを取ることもアドバイスしました。
 「みなさんの料理教室で事故を起こさないために、守備力を上げましょう」



「添加物=危ない」ではない 無添加のよさ説明できるよう

 「無添加」の表示についても、藤井さんは注意をうながしました。
例示した商品には、「国産小麦100% 無添加パン」とあって、「防腐剤、安定剤、乳化剤、イーストフード類、一切使用しておりません」とも明示してあります。
 藤井さんは「みなさんは無添加って聞くと、いいイメージがありますよね。でもそれって本当にいいものなの?」と問いかけたあとで、「防腐剤が入ってないということは、腐りやすい、ということです。安定剤が入ってないってことは、安定してないということ。乳化剤が入ってないってことは、ダマになってしまってるかもしれないということですよね」と続けました。
 「私は、無添加がダメだと言ってるわけじゃないんです。無添加というのは、みなさんはそのまんまいいものだと思ってる。だけど、どこがいいかわかってますかということを、ちゃんと答えられるようになってほしい」
 また、食品添加物といっても、中にはふつうの食べものが添加物として使用されることもあることを指摘しました。
 例えば、小麦はふつうの食べものですが、そばのつなぎとして使われれば「一般食品添加物」に該当します。
 「そういうものもありますので、添加物イコール危ないということでもないので、そこは間違わないようにして下さい」
 そもそもなぜ食品添加物は使われるのでしょうか。
 生産現場から消費者の手に届くまで、距離や時間も長くかかり、途中でたくさんの人の手にふれることを考えれば、病原性微生物や腐敗、酸化、異物混入など、さまざまな汚染の危険性にさらされることになります。
 「そうした汚染があっても、食べられるようにするために、いろんな添加物を使わざるを得ないというのが、今の実態なんじゃないかなと感じます


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藤井淳生(ふじい・あつお)
安心農業株式会社代表取締役社長。1967年広島県生まれ。1995 年 NPO 法人日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会勤務。 2003 年 (株)農水産ID設立。 2014 年 安心農業(株)設立。・専門分野、支援実績、プロフィール等/GAP(農業生産工程管理手法)の導入支援 ・JGAP上級審査員 ・日本生協連GAP講師 ・農林水産省GAP講師 ・農場管理、開発支援 ・直売所店舗管理支援 ・野菜ソムリエ講師 他
  • 2020年07月31日 13時51分更新
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