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【免疫力UP情報】なぜ日本人には伝統和食が合うのか②

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第2弾は「むすび誌2017年9月号」より「なぜ日本人には伝統和食が合うのか」をテーマにした
奥田昌子さんへのインタビュー記事です。(全5回)

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―反対に、日本人の体質の不利な面というのは?

短所
男性はお腹周りの内臓脂肪がつきやすい
 
男性の方に限った話ですが、お腹周りの脂肪(内臓脂肪)がつきやすいことがあります。
 お腹の脂肪というのは、見た目が悪いだけではなくて、非常に悪い物質を分泌して、生活習慣病の原因になります。
血圧が上がり、血糖値が上がり、動脈硬化も進みますし、血管の中で血を固まらせる作用があるので、脳の血管で塊ができると脳梗塞になります。
 ところが、驚いたことに、アメリカの白人の方は内臓脂肪がなかなかつかないのです。
パッと見だと、すごく体格のいい方がアメリカ人には目立ちますが、CTスキャンなどでからだを輪切りにして見ると、内臓脂肪もある程度はありますが、かなりの部分が皮下脂肪です。
 皮下脂肪は、悪い物質をほんの少ししか分泌しないので、生活習慣病につながりにくく、比較的安全です。
 最近の健康診断でお腹周りを測るのは、内臓脂肪がどれだけたまっているかを見ています。
 腹囲の基準は、日本では85センチですが、アメリカでは約102センチです。
腹囲が85センチの日本人についている内臓脂肪と102センチのアメリカ人の内臓脂肪の量が同じ、ということです。それぐらい日本人の男性は内臓脂肪がつきやすいのです。

アルコールや乳糖、カフェインを分解しにくい
 
また、アルコールに弱い、という特徴もあります。
 アルコールはからだにとって毒物です。アルコールは肝臓で分解しますが、日本人を含む東アジアの人は、分解する能力の低い人が半分くらいいます。
 それに対して、白人やアフリカ系の方は、分解力の弱い方は基本的にいません。さっと分解することができます。
 日本人は、会社のおつき合いなどで飲んでいると、どんどん飲めるようにはなりますが、飲めることとアルコールによるダメージをどのくらい受けるかは別なんです。
 本人は楽しく飲んでいるつもりでも、全身にアルコールの毒が回ってしまい、肝臓を悪くするだけではなくて、がんを増やすことにもなります。
 とくに大腸がん、肝臓がん、食道がんの危険が高まりますが、全身のどこにできるがんも、すべて飲酒によって発症率が高まるというデータがあります。
 一方、白人の方は速やかにアルコールを分解できるので、アルコールを原因とするがんは、がん全体の3%しかないと言われています。アルコールでがんになることはまずない、というのが欧米の方なんですね。

乳製品がアレルギーの一因にも
―アルコールのほか、日本人の多くは、牛乳などに含まれる乳糖を分解できない乳糖不耐症であり、カフェインの分解能力が低いとも聞きます。

はい、それもあります。
やはりいままであまり摂取することがなかったということがあると思いますが、カフェインにも弱いですし、乳糖も分解できない人が非常に多いですね。
 それもある程度、飲んでいると、だんだん飲めるようにはなりますが、おそらく腸には負担がかかっているだろうと思われます。

―乳製品がアレルギーの一因ではないかとも言われていますが。

 その可能性もあります。
 中には牛乳やヨーグルトなどの乳製品が合う人もいると思いますが、そういう人ばかりではなく、自分に合わないと気づかずに、体調をよくするためにと勘違いして、一生懸命に乳製品を摂っているという人も、中にはいらっしゃるということなんですね。



世界第3位と高い胃がん発症率
 
3つ目は、日本を含む東アジアは、胃がんが世界一多い地域だということです。発症率では、1位が韓国、2位がモンゴル、3位が日本と続き、中国も5位です。東アジアは北米の7倍も発症率が高いといわれます。
 ピロリ菌の問題だけでなく、もともと胃がんになりやすい遺伝子をもつ人が多いようです。また、以前は塩分摂取が多くなりがちだったことも影響していると考えられます。

 以上がだいたい日本人の体質のいい点、悪い点ですね。

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奥田昌子(おくだ・まさこ)
内科医、健診医。医学博士。京都大学大学院医学研究科修了。大規模健診センターで20年にわたり、20万人の人間ドッグ・健康診断に従事し、医学文献や医学書の翻訳にもあたる。著書に『欧米人とはこんなに違った 日本人の体質』(講談社ブルーバックス)、『健康診断 その「B判定」は見逃すと怖い』(青春新書インテリジェンス)など。
  • 2020年04月28日 10時47分更新
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