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【免疫力UP情報】なぜ日本人には伝統和食が合うのか①

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第2弾は「むすび誌2017年9月号」より「なぜ日本人には伝統和食が合うのか」をテーマにした
奥田昌子さんへのインタビュー記事です。(全5回)

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【日本人の体質とは?】

―最初に日本人のもつ体質の特徴から教えて下さい。

長所
白人に比べHDLが10%多く動脈硬化になりにくい
 まず長所から言いますと、動脈硬化になりにくいということがあります。
 最近は日本でも、動脈硬化が原因で起きる心筋梗塞や脳梗塞が増えていますが、世界的に見るとまだまだ日本は非常に少なく、とくに心筋梗塞の発症率は世界でもっとも少ない国の一つです。その理由はおそらく2つあるだろうと考えられます。
 一つが、日本人はいわゆる善玉コレステロール(HDL)が遺伝的に多いということです。
例えば、アメリカの白人と比べると10%ぐらいHDLが多いですね。
10%というとわずかな差と思われるかもしれませんが、からだにとっては決定的と言っていいほどの違いです。
 もう一つが、魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)の血液中の濃度が高いということ。EPAとDHAは、動脈硬化を防ぐ作用があります。
 日本人は伝統的に魚をたくさん食べてきましたので、EPAとDHAが血液の中に溶け込んでいるんですね。
HDLが遺伝的に多いことと、魚をよく食べるという食生活が重なって、日本人は動脈硬化が起こりにくい。
 仮に悪玉コレステロール(LDL)の数値が、日本人とアメリカの白人とで同じくらい高かったとしても、動脈硬化が進むのはアメリカの方なんですね。

善玉菌がたくさんあり、腸内環境がきれい
 それから、腸内環境が良好であるということ。
 早稲田大学が中心となり、12か国の750人ほどを対象に、腸内細菌の種類や数を調べた研究があります。
昨年に発表された内容を見ると、いちばん腸内環境がきれいだったのが日本人でした。ビフィズス菌などの善玉菌が多く、悪玉菌が少ないということでした。
 それに加えて、日本人の腸内には、ごはんをはじめとする炭水化物からむだなくエネルギーを取り出すのに役立つ菌がたくさんいました。この菌は、他の国の方はごくわずかだったようです。食べものが腸内環境をつくっているんだろうということですね。
 研究をされた先生方は、腸内環境がきれいだということが、日本人の平均寿命が長く、肥満が少ないことの背景になっている可能性がある、と指摘しています。

―逆に、12か国の中であまり良好ではなかった国というのは?

 やはりまだ十分な衛生環境が整っていないベネズエラなどでしたが、先進国ではアメリカ、そして近年発展した中国です。
 中国人は遺伝的には同じアジア人である日本人とかなり重なり、食生活も似た部分があると思いますが、日本人とはまったく違って悪玉菌がすごく多く、アメリカ人も同様でした。

お米を食べるのに適した胃の形
 3つ目は、腸だけではなく、胃にも特徴があって、そもそも胃の形が違うということがあります。
 日本人の胃は、お米を食べるのに適した形をしている、ということなんですね
 お米を含む炭水化物というのは、胃で十分に撹拌して、砕いた状態で腸に送らないと、エネルギーを取り出すことができません。
 ですから、日本人は、釣り針のように曲がった胃をもつ人が大半で、縦に長いために逆流しにくく、出口が少し高い位置にあって、しっかり食べものをためて消化できるようになっています。
 それに対して欧米の方は肉食中心で、脂肪やタンパク質の消化吸収の主な舞台は小腸です。
そのために食べものを一刻も早く腸に送った方がいいということで、胃からスムーズに出ていける形になっています。(図1参照)
 日本人は、炭水化物からエネルギーを取り出すのに適した腸内細菌がいると言いましたが、胃も腸もお米を食べるようにできている、ということです。

【図1】日本人と欧米人は胃の形が違う
 
日本人もお肉を食べることはもちろんできますが、とくに脂肪は消化するのに欧米人以上に時間がかかってしまいますので、胃がもたれたり、腸に長くとどまるために便秘になったりということが起こりやすいといえます。

骨が非常に強く、骨粗しょう症は実は少ない
 
また、日本人の体質の特長として忘れてはいけないのは、骨が非常に強いということです。骨粗しょう症が少ないことですね。
 「日本人はカルシウムの摂取量がアメリカ人の半分しかない。だからもっとカルシウムを摂りましょう」とよく言われますが、実は牛乳をよく飲むアメリカ人のほうが骨粗しょう症になる方が2倍くらい多いのです。
 骨粗しょう症だけではなくて、けがなどで手足の骨が折れる人の割合も、日本人を含むアジア人というのは、欧米の方の半分からせいぜい3分の2しかいないことがわかっています。

大豆摂取は米国人の700倍

 それほど骨が強いというのは、原因はおそらく2つあるだろうと言われています。
 骨粗しょう症は遺伝の影響が大きく、お母さんが骨粗しょう症だったという方は、かなりの確率で骨粗しょう症になります。ですから、おそらく日本人は骨折しにくい遺伝子をもつ人が多いのではと考えられます。
 骨粗しょう症が問題になっているのは、いまは高齢者の方が多いからで、昔の人は骨粗しょう症になる前に亡くなっていたからと考えられるかもしれません。
 もう一つが、カルシウムを何から摂取するかの違いです。
 欧米の方は、基本的にカルシウムといえば牛乳からということで、アメリカなどは、足りなければサプリメントで補うという考え方です。
 しかし、日本では牛乳を飲む習慣がもともとなく、野菜や海藻、大豆、小魚から摂っていました。
とくに大豆は、カルシウムを含むだけではなくて、骨に入ったカルシウムが逃げ出すのを防いでくれる作用が確かめられています。
 日本人はアメリカ人と比べると、大豆を700倍も摂っているという調査があるくらい、摂取量が圧倒的に違います。
アメリカでは先住民の方を除くと、白人の方はせいぜい大豆タンパクを加工した健康食品しか召し上がりません。

夏場は低下し、冬場は上昇する基礎代謝

【図2】日本人の基礎代謝量は季節によって変わる

 最後にもう一つ。日本人は基礎代謝が年間で変動するというのが、非常に大きな特徴です。
 図2を見ていただくとわかるように、日本人の基礎代謝は、春を100とすると、夏にかけては下がり、秋から冬にかけては反対にぐっと上がります。
 ところが、欧米の方は変動はなく、年間を通じて常に高い状態です。
 どうして基礎代謝が変動するかと言いますと、冬は寒いので、体温を維持するためにからだの中でどんどんエネルギーを燃やす必要があります。それで基礎代謝が上がるんですね。
 それに対して夏は暑いですから、体温を簡単に維持できます。だから、エネルギーを燃やす必要がなくて、基礎代謝が下がるわけです。
 基礎代謝が下がれば必要なカロリーが減るため、食欲がなくなって、運動量も少なくなります。だから、ゴロゴロとお昼寝したくなります。
 そうしていると、「夏バテじゃないか」と言われることがありますが、実はそういうふうにからだができているんですね。
 「夏バテだからしっかり食べましょう」とも言われますが、そんな状態で無理に食べると、胃腸にとても負担がかかってしまいます。

とくに高齢者は変動が大きく

 また、基礎代謝が下がっているのにカロリーの高いものを食べれば、太ってしまうことにもなります。
 とくに日本は夏場は暑くて、欧米と違って湿気が多いので、夏はできるだけむだにエネルギーを使わないように過ごすというのは、理にかなっています。
 とくに高齢の方はこの傾向が強くなって、基礎代謝も大きく落ちます。だから、「最近、うちのおばあちゃん、食が細くなったのよ。年かしら」といった会話を聞くことがありますが、それは自然の仕組みに沿って、そのおばあさんにとっていちばん負担にならない状態になっているだけなのです。
 ただ、ビタミンとミネラルは蓄えることができないので、毎日、できるだけ摂っていただければ、神経質になって「食べなければ」と考える必要はまったくないと考えられます。

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奥田昌子(おくだ・まさこ)
内科医、健診医。医学博士。京都大学大学院医学研究科修了。大規模健診センターで20年にわたり、20万人の人間ドッグ・健康診断に従事し、医学文献や医学書の翻訳にもあたる。著書に『欧米人とはこんなに違った 日本人の体質』(講談社ブルーバックス)、『健康診断 その「B判定」は見逃すと怖い』(青春新書インテリジェンス)など。