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庄屋屋敷で鑑賞する「能楽囃子の世界」

 

420日、吹田市内にある「浜屋敷」で

「能楽囃子の世界」が開催されました。

浜屋敷は、江戸時代吹田村にあった庄屋屋敷を再生した建物で、

正式名称は「吹田歴史文化まちづくりセンター」。

「浜屋敷」は愛称なのだそうです。 420浜屋敷.JPG (「浜屋敷」外観)

通常、能はストーリーがある演劇で、

囃子や地謡はその伴奏と捉えられます。

この会のコンセプトは、その囃子や謡をメインにすることで、

それぞれの演目のエッセンスを抽出し

五感で感じてもらおう、というもの。

小鼓の教室を浜屋敷でおこなっている大倉流小鼓方の 上田敦史さんが主体となって年に1度開催され、 今年で8回目となります。

上田さんは去年から正食クッキングスクールに通われており、

4月から上級コースに進級されました。

そのご縁で、舞台を鑑賞させていただくこととなりました。

 

演目は、「翁」「高砂」「田村」「羽衣」「天鼓」「石橋」。

 

“翁は「能にして能にあらず」ともいい、

能楽が成立する以前、祭事として執り行われた芸能の形を

残した、いわば能のルーツともいえるものです”(プログラムより)

 

会のテーマが「能・人の世を寿ぐ祈り」の通り、

「祈り」を表現する「翁」で会は始まりました。

 

「翁」の後、上田さんによる能のお話がありました。

今回の演目は“神・男・女・狂・鬼”の「五番立」に沿ったもので、

「すべての曲目を本格的におこなうと、朝から晩までかかります(笑)」

また、略式の演奏形式として、

舞囃子、番囃子、居囃子、仕舞、独調 があり、

今回それらを駆使して

1演目1時間近くかかるところを、山場のみ

1015分間で見せていただくことができました。

2013.04.20_能楽囃子 01.jpg (舞囃子「羽衣」。天女が羽衣を返してもらい、舞を披露する場面です。 その前にあった「田村」の武者らしい男性的な舞とは対照的な、 優雅な舞です。=「吹田歴史文化まちづくりセンター」提供画像)

「“囃子の音で謡の内容が聞き取りにくいから、小さくして?”

とおっしゃる方もいらっしゃいます(笑)。

ですがそれを小さくしてしまうと、全体的に力がなくなってしまいます。

囃子は、人間の謡や動きに力を与えるようなものと思っていただければ」

と上田さん。

  2013.04.20_能楽囃子 02.jpg

(居囃子「石橋」。獅子が出てくる場面で、とても迫力があります。 =「吹田歴史文化まちづくりセンター」提供画像) 古民家の土間を客席に、囃子と謡が響き交錯する空間は、

演者と客席が近いこともあり、

力強い緊張感のある空気が満ちていました。

囃子の笛、小鼓、大鼓、太鼓の音、そして掛け声が

全体感をまとめて、耳に残ります。

まさにライブのような臨場感でした。

上田さんより、メッセージをいただきました。

「本日は多数ご来場賜り誠にありがとうございました。

心より御礼申し上げます。

現代に生きるお能、とは言うものの、

一般の方には縁のないものと思われていることは

否定出来ません。 しかしそれは能が人の娯楽というより、

神への奉納神事として起こった芸能だからかもしれません。

例えば我々が囃す囃子も単に音楽というより、

陰陽五行などの古代思想に基づいて能舞台という仕掛けの上に

異世界を構築するための術でもあります。

またその稽古方法も技術のみならず、内側に精・心・気を養う

ことを重視しているような気がします。

このように単純には理解出来ない深さこそが

伝統芸能の素晴らしさではないでしょうか。

 今回は囃子方である私の立場から、

目や耳以上に深く心に響く能楽の魅力をなるべく分かりやすく、

楽しくお話しさせていただいたつもりです。

今後も能を観たことがない方も、愛好家の方も

どなたでも楽しんでくださるよう心がけて参りますので

是非またお気軽にご来場下さい!」

日本の伝統芸能、能。

身近でない方もいらっしゃるかもしれませんが、

(かくいう私も実は、狂言の舞台鑑賞はしたことがあるものの、

「お能」は中学校以来でした…汗)

「祈りの心」は古今東西変わりません。

 

これからの季節、大阪城での薪能をはじめ、

各地で野外能も多くなります。

いちど体感してみると、新しい発見があるかもしれませんよ

 

なお、上田さんが出演される大阪の舞台は、

53日「第6回佐野町場ろうそく能」(泉佐野市:旧新川家住宅)

518日「第14回いけだ薪能」(池田市:池田城跡公園)

615日「ECOろうそく能」(大阪市:山中能舞台)

とのこと。

詳細は、インターネットにて検索してみてくださいね

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Macropocket(正食協会事務局)

JAPAN MACROBIOTIC ASSOCIATION

https://www.macrobiotic.gr.jp/

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  • 2013年04月25日 15時11分更新
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