新世紀に入って、いよいよ世界は大きく転換しようとしています。この変化のときに今、私たちはどのような生き方を目指せばいいのか。何か羅針盤(コンパス)となるものはあるのか。ここにひとつのキーワードを提示することができます。「正食=マクロビオティック」です。自然と生命の営みに「気づき」、それを生かし、それと共に生きること。「正食=マクロビオティック」は、正しい食生活を中心とする日常こそ、「気づき」の源泉があると考えます。健康に関する情報はあふれかえり、医療技術や薬が発達しているにもかかわらず、病人の数は減らず、国家医療費は増え続けるばかりです。果たして何が正しい食≠ネのでしょうか? 本物の食と食にまつわる話や子育て、健康、環境などの幅広い情報を、私たちはみなさまにお届けしたいと思います。
正食=マクロビオティックとは…

正食は、日本に古くから伝わる食養生、今「食育」として注目されている石塚左玄の考えを引き継ぎ、さらに東洋の深い知恵「易」の原理を加え、桜沢如一氏が「無双原理」として確立、世界に広めた新しい生活法です。最近は海外からの逆輸入で、言葉としては「マクロビオティック」として知られるようになりましたが、その根底には「玄米正食」という自然に則した食事法があります。
 「マクロ」は大きなとか全体的なことを意味し、「ビオ」とはいのちのことです。「ティック」は術や学を現します。つまり「生命(いのち)を大きな視点で捉え、自然のリズムの中で自分を生かす生活法」です。
 欧米はもちろん、日本でも、生活に取り入れる人が多くなってきました。新時代をリードする生活法、食事法としてだけでなく、無双原理は自然科学や化学、医学、哲学などすべての分野を網羅した包括的な学問とも呼べれば、真理ともいえます。正食を実践するその目的は、病気予防や病気治し、健康維持やダイエットだけにあるのではなく、自由で豊かで楽しい人生を過ごすための手法であり、世界平和を実現させるための手段でもあります。
 奥深い内容をコンパクトにご紹介します。
正しい食事のキーワード
1.穀物菜食と自然食

一番大事なことは、ご飯をちゃんと食べることです。主食は、その地方特産の穀物(米を中心に、そばや麦、ひえ、あわ、きびなど)。これを5とすると、副食は旬の野菜や海草が3〜4、魚介類が中心の動物性食品は1〜2という割合で食べるのが目安。食品添加物などの化学物質が入った食品は避け、調味料は伝統製法で無添加のものを使用。素材はできるだけ無農薬や低農薬、有機農法の作物を選びます。白砂糖は使いません。動物性の素材も、使う場合は生産者がはっきりした安心なものを選びます。おいしく料理する方法は、正食クッキングスクールで習うことができます。
2.一物全体

生物はそれぞれそのもの全体で生命バランスが保たれています。野菜の皮も、ねぎのひげ根やごぼうのアクも大事な働きをもち、捨てずにうまく料理すれば旨味に変えることができます。お米も丸ごとの玄米。魚も丸ごと食べられる小魚がよいのです。
3.身土不二

環境と生命(いのち)は一体。生命現象は、その環境が生み出すという考え方です。身近な季節・風土から自然に生まれるものを食すことが、体に最も無理がなく適しています。できるだけ、身近な(国内産の)食品を選びましょう。
4.陰陽調和

正食の「陰陽原理」を学んで、バランスのとれた食事をとりましょう。たとえば、野菜は、地表面を基準とすると、上に向かって伸びる遠心力をもつ葉菜類や果物は陰性で、身体を冷やし組織をゆるめます。逆に、下に向かって伸びる求心力をもつ根菜類は陽性で、身体を温め組織を引き締めるなど、それぞれの性質に違いがあることを考えて、身体に適した食事をすることが大切です。
5.よく噛んで少食に(腹八分目)

よく噛むことが、健康の要です。箸はひと口ごとに下に置き、健康な人で50回以上、病気の人は100回以上噛むとよいでしょう。食べ過ぎは、どんな場合も胃腸に負担をかけ、体に悪影響を与えます。体にとって適切な量を保つためにも、ゆっくり噛めば、自ずと腹八分目になります。